ラッツ&スターというのは本当に素晴らしいグループで、一見キワモノのようでもあるし、コミックバンドのようでもあるが、実はメンバーの1人ひとりが才能豊か、個性豊かな粒揃いだ。
田代さんはダンスの振り付けから作詞や絵、MCまでこなす天才肌。
甘いルックスと渋い低音で女性ファンを魅了した、ベースボーカルの佐藤さん。
桑野さんと新保さんは楽器を演奏するだけでなく、歌の上手さでも群を抜いている。
リーダー鈴木さんの圧倒的な歌唱力については、もはや語る必要もない。
そんななか、久保木さんはフロントメンバーにしては目立たないというか、もうひとつ抜けきらない印象があったかもしれない。
久保木さんの高音。
あの高音があるからこそ、より鈴木さんの歌が引き立つのに。低音ほどのインパクトがないからなぁ。
どうやら、ほかの3人や桑野さんに比べると、喋りもあまり得意ではないようだし。
そして、久保木さん。声はいいんだけど、歌は多分そんなに上手くない。だからかな、ソロが少ないの。
歌の上手さでいえば、田代さんや佐藤さんもさほど上手くはないんだけど、ふたりともわかりやすいポジションを確立しているからな。
だけど、貴重な久保木さんのソロをひと通り聴いてもらえばわかるように、実は久保木さんっていろんな声を持つエンターテイナーなのだ。
ただ、シリアスな役回りには向かないので、使いどころが難しいというのはあるかもしれない。
個人的には、あのやんちゃくさい顔で“恋は命がけ”のような可愛い声を発しているというのは、萌え要素しかないんだけど。
一方、ダンスに関しては、久保木さんは結構うまいと思う。
「ダンスといえばマーシー」と思っている人も多いだろうが、田代さんがテクニックで踊る人なら、久保木さんは体幹で踊る人(だと、私は思っている)。
久保木さんのダンスには、軸のぶれない安定感がある。
立ち姿や決めポーズも決まっているし、手指や足先の動きなど、要所要所のディテールの美しさはメンバーの誰にも引けをとらない。
田代さんが「魅せ方」の上手い人だとすると、久保木さんは「体の使い方」が上手い人。
『WHISKY A GO GO』のライブ映像で、“SPEEDO’S BACK IN TOWN”の最後のジャンプを見たときにも思ったけど、身体能力の高い人なのだと思う。
あとから知ったところによると、中学・高校時代はかなり真剣に剣道をやっていたらしい。
なるほど、久保木さんのダンスのルーツは剣道か。
武道は型が命だもんね。体幹も鍛えられるし。
そんなことを思いながら、私は今日も、久保木さんのすっと伸びた背筋と肩のラインに言いようのない色気を感じながら、YouTubeの映像を前にひとり悶絶するのだ。