PEPPERMINT TWIST

リードボーカル、田代まさし。
シャネルズのアルバムに収録されているカバー曲のうち、私が2番目に好きな曲。

田代さんリードボーカルの曲はいっぱいあるけど、そのほとんどがスローなラブ・ソング。
シャネルズ時代なら、

“涙のテレフォン”
“パシフィック(夏は罪つくり)”
“恋愛専科”

とか、この辺り。
ラッツ&スター以降の曲だと、

“One Dream Night”

でしょ。

“夏の光と影”
“You Can Win”

なんて、オールファルセットだよ。

カバー曲も“PEPPERMINT TWIST”のほかに“SILHOUETTES”とかあるし。

個人的には、田代さんの曲というと“恋愛専科”が好きだったな。小学生の頃は。
今思うと、小学生が聴くような曲じゃないけど。

でも、“PEPPERMINT TWIST”はもっと好きだった。
オリジナル曲とあわせても、ランキング上位に食い込むくらいには好きだったんじゃないかな。

田代さんは、声も歌い方も顔も動きも…あ、動きは見たことなかったか。当時は。
まぁ、とにかく田代さんって、小学生当時の私が聴いてもビターチョコレートみたいな甘い声してて、歌い方も粘度が高めだから、しっとりとしたラブ・ソングを歌われると、ちょっと胸やけしちゃうんだよね。あくまでも個人的な意見。

ところが、あの粘着質なチョコレートボイスでポップなナンバーを歌われると一転、そのねちっこさが癖になる。
“BOOGIE WOOGIE TEENAGE”の田代さんのパートもいいし、“ダウンタウン・ボーイ”の「みんな一人で 産まれて来たのさ 生きるのも一人で 死ぬのも一人さ」の、ちょっと投げやりに聞こえる感じも好き。

改めて聴いてみると、小学生の頃はスロー・ナンバーだと思って聴いてた“恋愛専科”も、田代さんの曲の中では結構ポップな部類に入ることに気付いた。
病みつきになるはずだわ。
そして多分、“You Can Win”もこっち寄り。


本家 Joey Dee & Starliters が歌う“PEPPERMINT TWIST”はサラッとした高音だし、どっちかというと久保木さん向きな曲だと思うけど、それを田代さんが歌ってるっていうのが面白い。

【シャネルズ/ラッツ&スター】の曲 BEST12

ベスト12って、めちゃくちゃ中途半端。
本当はベスト30くらい選んでみたかったけど、横並びに好きな曲が多いので難しかった。
かといって、ベスト10ではちょっと物足りないし。シャネルズが常連だったという歌番組のタイトルではあるけど。

で、ベスト12。1ダース。

とはいえ、さすがに40年も聴き続けていると多少なりとも好みは変わる。小学生がアラフィフになってるわけだからね。
そこで、“初めて聴いたときの衝撃度”と“今改めて聴いても「好き」と思えること”を基準として、順位付けしてみた。

ちなみに、カバー曲は入れてない。オリジナルソングのみ。

「え?」という結果になるかもしれないけど、個人的な嗜好なので許してほしい。



……というわけで、12位から。


<12位> 雨の日のローラ

作詞:湯川れい子 作曲:和泉常寛
Vo:鈴木雅之

シャネルズ時代の曲にはない、大人のラブソング。いつ聴いても、なぜか鮮度が高い。


<11位> 愛しのアンナ

作詞:田代マサシ 作曲:鈴木雅之
Vo:新保清孝

ヤングアダルト向けラブソング。とてもシャネルズらしい、鈴木さんと田代さんらしい曲。


<10位> 今夜はフィジカル

作詞:麻生麗二 作曲:井上大輔 
Vo:鈴木雅之

クールでファンタスティック。この辺から、ラッツ&スターもアダルト路線に?
※成人向けではなく、大人向けという意味で。


<9位> 星空のサーカス

作詞:松本隆 作曲:大瀧詠一
Vo:鈴木雅之

シャネルズ時代を回顧するかのような、Doo-wop。大瀧さんらしい透明感のある曲。


<8位> 恋の4回戦ボーイ

作詞:麻生麗二 作曲:鈴木雅之
Vo:久保木博之

ユーモラスな中にもペーソスが織り混ぜられた、ほろ苦い恋愛ソング。


<7位> 渚のウエディング・ベル

作詞:湯川れい子 作曲:井上大輔
Vo:鈴木雅之

とにかく甘い。これを聴くと、もう1回結婚したくなるので要注意。


<6位> 憧れのスレンダー・ガール

作詞:田代マサシ 作曲:鈴木雅之
Vo:鈴木雅之

これは説明いらないでしょ。シャネルズの名曲のひとつ。


<5位> もしかして I LOVE YOU.

作詞:田代まさし 作曲:松村邦男
Vo:鈴木雅之/鈴木聖美

デュエットしたくてもできない(歌える人がいない)、隠れた名曲。


<4位> 彼氏になりたい

作詞:麻生麗二 作曲:井上大輔
Vo:鈴木雅之

ポップな曲調と、切ない歌詞のコントラストがたまらなく好き。


<3位> ダウンタウン・ボーイ

作詞:田村勇気 作曲:鈴木雅之
Vo:鈴木雅之

ポップな曲調と、泥臭い歌詞のコントラストがたまらなく好き。


<2位> 渚のスーベニール

作詞:田代マサシ 作曲:鈴木雅之
Vo:鈴木雅之

好き。イントロ聴いた瞬間、心を奪われる。


<1位> 浮気なエンジェル

作詞:田代マサシ 作曲:鈴木雅之
Vo:鈴木雅之/久保木博之/田代まさし/佐藤善雄

理由はいらない。好き。もう、とにかく好き。



まさか“浮気なエンジェル”が1位とは、誰も予想しなかったに違いない。

“ランナウェイ”はどうした!シャネルズ4部作は!!
“め組のひと”はどこ行った!?
“Tシャツに口紅”は!?
“夢で逢えたら”は!!?

って声が、どこからともなく聴こえてきそう……。

11位、12位あたりは、私もさすがに迷ったんだけどね。

ダウンタウン・ボーイ

私がラッツ&スターを好きになったのは母の影響だけど、母はシャネルズのレコードを全部揃えるほどの大ファンというわけでもなかったので、家にあったのはアルバム4枚と、シングルが数枚のみ。

シャネルズ1枚目のアルバムである『Mr.ブラック』は、その中には入っていなかった。
だから『Mr.ブラック』にしか入ってない曲は、私が自分でCDを買って初めて聴いた曲、ということになる。

いつ買ったのかは覚えてないけど、多分ラッツ&スター以降のCDを先に買って、あとからシャネルズ時代のアルバムがほかにもあることを知り、買い足したんじゃなかったかな。

だから、私にとって『Mr.ブラック』でしか聴けない曲は、わりと新鮮で記憶に新しい。

記憶には新しいけど、入ってる曲はすごく古くさいよね。カバー曲はもちろん、オリジナル曲も。オールディーズ臭がプンプンする。

もちろん、これ褒めてるからね。もう、すごく好きなんだ。

なかでも、“ダウンタウン・ボーイ”を初めて聴いたときの衝撃。
シャネルズを聴きはじめた小学生の頃から、もう何年も……おそらく10年は経っていたんじゃないかと思うけど、

「シャネルズは、こんなかっこいい歌も歌ってたのか」

って、本気で思ったから。
それくらい“ダウンタウン・ボーイ”は、私の心を強く揺り動かした。

私は本物の田舎者なので、そもそもダウンタウンといわれるような場所には馴染みがない。
私自身もごく普通の真面目な少女から、ごく普通の大人の女性になったクチなので、ラッツ&スターのメンバーが生きてきたような世界とは、多分あまり縁がない。

ただ、私の父は中卒の職人だ。
物心ついた頃から、作業服を着た下請けの職人さんやお弟子さんが何人も我が家を出入りしていた。
父の若い頃の写真を見ても、なんともいえないワルっぽさを漂わせている。
母はどちらかというとお嬢さん育ちだったようで、「あんな先の尖った靴はいて、一緒に歩くの恥ずかしかったんだから!」などと、よく言っていたけれど。

そして、私は一見普通のお嬢さんだが、どちらかというと父のDNAを色濃く受け継いでいるらしい。

“ダウンタウン・ボーイ”を聴いていると、その光景がリアルに脳裏に浮かんでくる。不思議と懐かしい気持ちになる。

ほかに似たような曲といえば、『Heart&Soul』に収録されている“夜明けのワークソング”があるな。

どれも肉体労働者の仕事終わりを歌った、泥臭くて、それでいてすごくキラキラした曲。

だけど、私は“ダウンタウン・ボーイ”の方が好きだな。
あのポップな曲調と、「両手の爪は黒く油まみれだけれど この手で幸せ掴んでみせる」っていう、切なくもポジティブな歌詞が好き。

曲はカラッと軽快なのに、なんとかして這い上がろうともがいている感じに心を打たれる。

あと、“ビッグ・シティ・キャット”。
母が持っていたシングルのレコード以外、私はシングル盤を持っていない。
だから、アルバムに収録されていないB面曲が結構あるということを、YouTubeで知った。
うん、かなり好き。この軽いノリ。


泥臭さのなかにある、強い生命力。
この感じが、きっとシャネルズの原点なんだろうな。