大瀧詠一さんと“FUN×4”

私が大瀧詠一さんの存在をハッキリと認識したのは、ドラマ『ラブジェネレーション』の主題歌である“幸せな結末”が大ヒットしたとき。

基本的にあまりテレビを見ない人間で、ドラマの類もほとんど見ないため、『ラブジェネレーション』のストーリーはよく知らないけれど、この主題歌は聴いた瞬間「あ、これ好き」と思った。
歌詞もメロディーも声も、全部がいい。

「これ、大瀧詠一の歌なんだ」

って思った記憶があるから、大瀧詠一さんの名前は知ってたんだと思う。

そりゃそうだよね、ラッツ&スターが再集結で“夢で逢えたら”を歌った次の年だもん。
そもそも、私が“Tシャツに口紅”や“星空のサーカス”を作曲した人の名前を知らなかったはずがないし。

ただ、大瀧詠一さんを歌手として認識したのは、そのときが最初だったと思う。


それから、さらに20年がたったある日のこと。
仕事中、移動のために当時の勤務先の社長の車に同乗していたところ、オーディオからシュールでポップな音楽が流れてきた。優しげなのに、どこか淡泊な男性歌手の声。

なにこれ、誰の歌?
聴いた瞬間すごく好きだと思ったけど、社長に「これ誰のCDですか?」と質問することもできず悶々としていると、

「一人で二人で三ツ矢サイダー」

という聞き覚えのあるフレーズが。
その日の休憩時間に、頭の片隅に残っていたそのフレーズをスマホで検索する。

「あれ、大瀧詠一だったんだ……」

歌手・大瀧詠一を認識した二度目の出来事。


でも、そのときはまだ知らなかったんだ。
ラッツ&スターと大瀧詠一さんの間に、デビュー前からの深い関係性があったこと。

私が10代の頃ってインターネットも普及してなかったし、ラッツ&スターの情報を得る手段なんて、ほとんどなかったもんね。
ほんとに何も知らなかったんだな、私。


私は、大瀧詠一さんの曲のなかでは“FUN×4”がいちばん好きなんだけど、この曲のコーラスのほんのワンフレーズだけ、ラッツ&スターが歌ってるんだよね。

それを知ったときの衝撃といったら、もう。

もともとのラッツ&スターや大瀧詠一さんのファンにとっては当たり前のことも、一世代あとで生まれた私には、1つひとつの事実が新鮮な驚きをもたらしてくれる。


ラッツ&スターに“FUN×4”歌ってほしいなぁ。
できれば、この曲はフロント4人全員のソロが欲しい。
ワンコーラスごとに、

1番 佐藤善雄
2番 久保木博之
3番 田代まさし
4番 鈴木雅之

の順でどうでしょうか。
久保木さんのソロパートに合わせて「散歩しない?」って、最大限に可愛い声で合いの手入れたい。

(追伸)月に吠える役目は、もちろん新保さんでお願いします。

ラスト・ワーズ/星くずのダンス・ホール

ラッツのバラードといえば、知名度でも人気度でも、まず“涙のスウィート・チェリー”と“Tシャツに口紅”が挙がると思う。

私も、もちろん好き。


でも、いちばん好きなのはアルバム『Hey!ブラザー』に収録されている“ラスト・ワーズ”。

“涙のスウィート・チェリー”や“Tシャツに口紅”には、胸が締め付けられるような切なさがあるけど、“ラスト・ワーズ”は同じスロー・ナンバーでも鬼気迫るものがある。

「お前の震える…」「笑顔がこんなに…」の二段階で転調するところとか、あとハモリの効果もあるのかなぁ(あのハモリは誰なんだろう)。


とにかく、私にとって深い印象的を残した曲。

どれだけ印象深かったかというと、小学校6年生の時。卒業文集に寄せるメッセージに一言タイトルをつけなきゃならなくて、そこに“ラスト・ワーズ”って書いたほど。

渋すぎだろ、小学6年生。


あと、“星くずのダンス・ホール”もいい。

『ダンス!ダンス!ダンス!』に収録されていた曲。

ひたすらロマンティックな曲で、サビの部分のコーラス「ポンポンポンポン」とギターの音色が、まるで夢見てるような気分にさせてくれる。

シャネルズの真骨頂。

“夢で逢えたら”も、“星くずのダンス・ホール”に近い雰囲気がある。
すごくロマンティックで、夢みたいな曲。

今となっては、夢そのものかもしれない。