masayuki suzuki taste of martini tour 2023 ~SOUL NAVIGATION~

今年の夏の一大イベント。
鈴木雅之さんのコンサートへ行ってきた。

ラッツ&スターめちゃくちゃ好きなのに、なぜかこれまで「鈴木さんのコンサートに行こう」と思ったことは一度もなかった。
デビューから活動休止までの流れをまったく知らない私にとって、ラッツ&スターと鈴木雅之というヴォーカリストはまったくの別モノだったのだ。

それは、田代さんや桑野さんにしても同じ。
バラエティで活躍していた彼らは、私にとってラッツ&スターの田代さんや桑野さんとはまったくの別モノ。ラッツ&スターの田代さんとか桑野さんとして見たことは、多分ない。

だから、私が今まで「鈴木さんのコンサートへ行こう」と思わなかったのも、ごく当たり前のことなのだ。

それなのに、今年はどういう風の吹き回しか「鈴木さんのコンサートに行ってみよう」という気になった。

ただ待ち続けることに疲れたのかもしれない。
ラッツ&スターの再集結への期待を断ち切るきっかけが、そろそろ必要になってきたのかもしれない。

だけど、心のどこかで、鈴木さんのコンサートへ行くことがラッツ&スターへの裏切りになるような気もしていた。
多分、メンバーの人たちは誰もそんなこと思わないだろうけど。


だから、「鈴木さんのコンサートへ行こう!そうしよう!」と大手を振って申し込む気にもなれず、結局、悩んで悩んで応募締め切りの数時間前に申し込んだ。

悩みはしたものの、当日になるとそれなりに胸が騒ぐ。
「この色、なんとなくラッツ&スターっぽくない?」と、私はターコイズグリーンのダボっとしたセットアップを着て、夫の前でファッションショー。完全にワクワクしている。

会場に入り、自分の席を探す。
いちばん後ろの、真ん中の席。

なんとなく落ち着かなくて、席に座ったままキョロキョロしていると、近くの席に座っていた女性が持っているグッズ(タオル)の文字色が、私の服と似たような色であることに気付く。
どうやら、ニューアルバム【SOUL NAVIGATION】のイメージカラーらしい。
意図せずして、今回のコンサートのイメージカラーを全身にまとってきてしまったようだ。


感想を書きだすと長くなるので端折るけど、とりあえず鈴木さんがステージ上に姿を現したときには、なんともいえない気持ちになった。

感動とか興奮とは違う、静かで穏やかな気持ち。

「ああ、本物の鈴木さんだ……」

という、感慨深い想い。
小学生の頃、ラッツ&スターのコンサートで初めて彼らを見たときも、こんな気持ちだったのかな。
いや、あのときはもっと興奮したような気がするな。

ツアー真っ只中だというのに、60代半ばを過ぎても変わらない、鈴木さんの声量と歌唱力。
笑いを交えたMCは、ラッツ&スターのステージを彷彿とさせる。
最近の歌はあまり聴き慣れないけど、鈴木さんの歌はどれもよかった。
悩んで悩んで申し込んだわりには、普通に楽しんでいたと思う。


ただ、どうしても悲しくなる瞬間がある。
“め組のひと”とか“夢で逢えたら”は、べつにいいんだ。
曲そのものが有名すぎて、いろんな人がカバーしてるし、誰が歌っても、鈴木さんがひとりで歌っても、そういう曲として楽しめる。

でも、“Miss You”はダメ。
だって、あれはどう聴いたってラッツ&スターの歌なんだもん。
イヤでも聞こえちゃうでしょ、あの人たちのコーラスが。頭の中で。


鈴木さんのコンサートは本当に楽しかったし、歌もよかったし、満足できるものだった。鈴木さんの穏やかな語り口調にも癒やされた。
なんなら、また行きたいなと思う。

だけど、これがもしラッツ&スターのコンサートだったら、私きっと「楽しい」よりもボロボロ泣いちゃうんだろうな。

鈴木さん、ごめんなさい。
私はやっぱり、ラッツ&スターじゃないとダメみたいです。
今度は、ラッツ&スターのリーダーとしての鈴木さんに会えるといいな。