夢で逢えたら

YouTubeで見つけた、あの年の紅白歌合戦。
再集結したラッツ&スターが歌う“夢で逢えたら”。

ああ、そうだった。
みんな、真っ白のスーツ着てたなぁ。
そうそう、田代さんのこのセリフ。
出雲さんが、レコードのジャケット写真で見てた出雲さんよりも、ちょっと恰幅よくなってて。

おぼろげながら、当時テレビで見ていたときの記憶がよみがえってくる。


大瀧詠一さんの作詞・作曲による曲。
100を超えるカバー曲が存在するという“夢で逢えたら”を初めてヒットさせたのが、男性ヴォーカリストの鈴木雅之さん率いるラッツ&スターだったというのは、有名な話。

素敵。なんか夢があっていいよね。


夢でもし逢えたら 素敵なことね
あなたに逢えるまで 眠り続けたい


改めて歌詞を見直すと、“トゥナイト”がひたすら「tonight!」を繰り返しているように、“夢で逢えたら”もほぼ上記の歌詞で埋め尽くされている。

それにしても、この“夢で逢えたら”という曲は、今の私の心情をそのまま映し出しているようだ。

ラッツ&スターに、久保木さんに、逢いたくて逢いたくて。
夢でもいいから、逢いたいと思う。
でも、目が覚めた瞬間、どれだけ切なく悲しい気持ちになるかも知っている。

ラッツ&スターの“夢で逢えたら”がヒットしたのは、「男性ヴォーカリストが歌う」という意外性や「ラッツ&スターが再集結で歌った曲」というドラマ性もあったのだとは思うけど、多分それだけじゃない。
女性ヴォーカリストの歌う“夢で逢えたら”は、ほのぼのとした恋の歌。
だけど、鈴木雅之さんが歌う“夢で逢えたら”には「素敵なことね」の裏に込められた切なさが、強く感じられる。

そこだと思うな。


あの記念すべき、第47回紅白歌合戦。
間奏中の田代さんのセリフ。

「デビュー16年。紅白初出場、ラッツ&スターです」

こうして文字にするとサラッとして見えるけど、この一行には多分メンバーそれぞれの、いろんな想いが詰まっているんだろうなと思うと、もうそれだけで何度でも泣けてくる。

「この曲をラッツのファンの方たちと大瀧詠一さんに捧げます」

現役時代を知らない私でも、そのファンのひとりに入れてもらっていいのかな。


夢でもし逢えたら 素敵なことね
あなたに逢えるまで 眠り続けたい


どんなに逢いたいと思っても、朝になれば起きなきゃならない。

だから、今夜はもう寝よう。
おやすみなさい。

ちょっとでいいから、逢えたらいいな。

《シャネルズ4部作》トゥナイト

“ランナウェイ”
“トゥナイト”
“街角トワイライト”
“ハリケーン”

《シャネルズ4部作》第2弾。
歌詞の半分くらいが「tonight!」で埋めつくされているような気がする曲。

私、YouTubeでシャネルズのステージを見るようになって、そのカッコよさの虜になってるところなんだけど、この“トゥナイト”に関しては、映像なしでもいいかなと思う。

歌詞はすごくシンプルなのに(ほぼ「tonight!」だし)目を閉じてこの曲を聴いてると、なぜかいろんな光景が浮かんでくる。


過去の記憶とか、根も葉もない妄想とか、いろんなものが頭の中を駆け巡るんだけど、これがなかなか幸せな時間なの。
しかも、歌詞のない間奏部分が、いちばん想像力を掻き立てられるという不思議な曲。

多分、これがコーラスの力なんだろうな。
「ヤーヤヤヤー」とか「リンガリンガリンガ」とか、文字にするとなんかうるさい感じだけど、実際に耳で聴いてみると、あっという間に別世界に引き込まれちゃうから。
桑野さんのトランペットもいいし。


ちなみにこの曲、4部作の中では唯一の明るめの曲でもある。

だけど、ストーリーは“ランナウェイ”とほぼ同じ。二人で俗世を逃げ出して、ただ愛し求め合う歌だ。


ご存じだろうか。
スター誕生に桜田淳子ちゃんが出たとき、「すごい子がいる!」と騒ぎになったという話。そして、その次の回で山口百恵ちゃんが出てきたときには、「暗い淳子がいる!」と、また騒ぎになったのだとか。


いうなればこんな感じ。私が“トゥナイト”に対して抱いているイメージとは、ちょっと明るい“ランナウェイ”なのだ。


また、アルバムで聴いている分には「名曲」とまで感じないのに、コンサートやライブになると、とたんに化ける曲というのがある。

私にとってはサザンオールスターズの“YOU”という曲がそれなんだけど(ライブ行ったことないけど)、シャネルズの“トゥナイト”も、多分その部類に入るんじゃないかな。
『BACK TO THE BASIK』に収録されていた、代々木第一体育館でのライブVer。あれは、よかったよね。トランペットのアレンジも素敵だし。

ただ、これだけは言いたい。

“トゥナイト”の曲の終わり方。あれだけは、なんか違うと思うんだ。
この曲には、なんかもっと違う終わり方があるんじゃないかと、聴くたびに思ってしまう。

“街角トワイライト”よりも、もう少し“ランナウェイ”寄りの終わり方にならないかなぁ。