直滑降で恋に落ちて以来、私はまた毎日のようにラッツ&スターの曲を聴いている。
シャネルズ時代の曲も、ラッツ&スターになってからの曲も、すべて空で歌えるほど聴き込んでいる。
ただ、もう昔のような純粋な気持ちでシャネルズやラッツ&スターを聴くことができなくなっていることに、ふとした瞬間、気付いてしまう。
どうしても、久保木さんの声を探してしまう。
高音パートにばかり、意識が向いてしまうのだ。
そのことに、長年ラッツ&スターのファンを自認していた私は、どうしても罪悪感を持たずにいられない。
ごめんね、みんな。
果たして、ラッツ&スターの再々集結はあるのだろうか。
仮に再々集結があったとしても、一般人として20年も30年も生きてきた久保木さんが、また改めてラッツ&スターをやろうと思うだろうか。
ラッツ&スターが解散していないことは、私にとって希望だった。
同じように、久保木さんがラッツ&スターを脱退していないことに、私はどうしても希望を持ってしまう。
だけど、おそらくそのハードルはかなり高い。
もう一度、歌って踊るラッツ&スターを見たい。
もう一度、久保木さんに会いたい。
古い映像なんかではなく、今の久保木博之さんに。
今、私は毎日のように、シャネルズやラッツ&スターの動画を見て泣いている。
久保木さんが素敵すぎて。
とにかく、久保木さんが好きすぎて。
好きで好きでたまらない。
ひたすらラッツにあこがれていた頃とは、また違う感情に溺れている。
35年前、コンサートの終わりに感じた切なさとは、また違うやるせなさに胸を痛めている。
胸をかきむしりたくなるような、このやり切れない想いを。
私はいったい、どうすればよいのだろうか。
こんな年になって、また誰かに恋して泣くことになるなんて。
こんなにも、自分の感情をコントロールできないなんて。
ハタチやそこいらの女の子じゃあるまいし。
しかも、相手は芸能人である。
……いや、違うな。久保木さんはもう、一般人か。
だけど、だからこそ余計に切ないのかもしれない。
今の久保木さんは、私にとって芸能人よりも遠い存在だ。
ひと目姿を見ることもできなければ、今どこで何をしているのかを知る術もないのだから。
久保木さん、今、どこでどうしていますか?