久保木博之さんへのラブレター #11

芸能界というのは、かなり特殊な世界だと思う。

一度はスターダムへのし上がっても、一生スターでいられる人というのは多くはない。
人より秀でた才能があり、しかも、よほど太い神経の持ち主でなければ生きていけない世界だろう。多分だけど。

私は正直、そんな厳しい世界に大切な人を置いておきたいとは思わない。
もし、自分の子どもが芸能界を目指すと言えば、全力で反対するだろう。


そういう意味では、久保木さんが芸能界を去ったのは正解だと思っている。

もちろん、「せめて、佐藤さんのように業界に残ってくれていたら……」と思うこともある。
そうすれば、メディアを通して顔を見ることくらいはできただろう。

だって、顔見たいんだもん。そりゃ、見たいよ。好きなんだもん。
今だって、本当は見たくて見たくてたまらない。
60代の久保木さんが、どんなふうに喋って、動いて、笑うのか。

だけど、その反面、いさぎよく芸能界を去り、芸能界以外に居場所をつくることのできた久保木さんのことを、心からすごいと思っている。

一度は頂点に立ち、良いことも悪いことも、酸いも甘いも経験し、それでも芸能界以外に生きていく場所を見つけられず、芸能界の片隅にすがって生きていく業界人も多い中、一から再スタートして自分の居場所をつくり、そこで普通の人として生きていけるというのは、間違いなくひとつの才能だ。

スターとしての過去を背負いながら普通の人になるというのは、なかなかしんどい選択だと思うけど。


私は、久保木さんにはこのまま一般人をまっとうし、安寧な日々を送ってほしいと願っている。

けれど、それでもラッツの再々集結だけは諦めきれない。
今もまだ、心のどこかで期待している。

そして、もしもその日が来るのであれば、そのときだけは久保木さんも一般人を離れ、ラッツ&スターのフロントマンとして再びステージに立ってほしい。

私は、久保木さんのいないラッツ&スターなど見たくはないし、見るつもりもない。
そして、久保木さん以外の誰かが欠けたラッツ&スターも見たくない。

できることなら全盛期の10人で、もう一度ラッツ&スターをやってほしいと思う。

私が小・中学生の頃、大切に飾っていたシャネルズのジャケットには、必ず10人のメンバーが写っていた。
10人で歌っている姿、演奏している姿は見たことなくても、私のなかのラッツはやっぱり、その10人なのだ。
ほかには代えがたい、宝物なのだ。


と言いつつ、これだけ望んで望んで、心の底から願って願って、願い続けて、もしもラッツの再々集結が実現したとしても、きっと今の私は久保木さんにしか目がいかない。

メンバーの皆さん、ごめんなさい。
来るべきその日のために、先に謝罪しておきます。