ラブ・ミー・ドゥ

すごくいい歌なんだよね、“ラブ・ミー・ドゥ”って。
いい曲っていうか、めちゃくちゃカッコいい。サビの部分なんか、聴いててゾクゾクする。

YouTubeのコメントとか見てても、ラッツファンからの評価はかなり高い。

“涙のスウィート・チェリー”と、この曲と両A面だってんだってね。そんなことすら、YouTubeのコメント欄を見るまで知らなかったよ。

フロント4人全員のソロパートがある曲っていうと、まず“浮気なエンジェル”でしょ。で、“BAD BLOOD”でしょ。
その“BAD BLOOD”と同じような構成になってるのが“ラブ・ミー・ドゥ”。

ただし、“ラブ・ミー・ドゥ”はフロント4人じゃなくて、5人。桑野さんのソロパートもある。

だけど、この曲を聴くといつも思う。

桑野さんのパート、なんでファルセット?

もちろん地声でもいけるだろうし、あえての裏声なんだと思うけど。
もしかすると、次の田代さんのパートとのコントラストをより明確にするための裏声なのかもしれないけど。

でも、桑野さんの声って、あのスコーンと突き抜ける感じがいいのになぁ。
あそこはやっぱり地声でいってほしいし、地声で歌っても田代さんの声と干渉することはないと思うんだけどな。


でもね、個人的には、この“ラブ・ミー・ドゥ”という曲の盛り上がりは久保木さんのパートにかかってると思ってる。

いつも久保木さんのことばっかり言ってるから説得力ないかもしれないけど、これは間違いない。

音楽のいちばん盛り上がるところといえば、当然サビだけど、この“ラブ・ミー・ドゥ”はサビが3回あって、3回とも盛り上がり方が違う。

どこが違うって、久保木さんのパートの「peeky-peeky」が、1回目よりも2回目のサビの方がオクターブ高い。
すごいよ、超ハイトーンボイスだもん。この曲聴くと、ラッツ&スターのトップテナーは伊達じゃないなって思うから。

さらに、2回目の「peeky-peeky」では少しリズムをずらして含みをもたせているのに対し、3回目は同じトーンでもサラッと流してる。
曲全体が、2回目のサビに向かってクライマックスを描く形になっているの。

“BAD BLOOD”も同じような感じで2回目にクライマックスを持ってきてるけど、“ラブ・ミー・ドゥ”はそこのところをさらに強調した感じ。


そこを意識して聴いてもらえれば、“ラブ・ミー・ドゥ”という曲のカッコよさの多くを久保木さんが担っているという私の主張を、きっと理解してもらえると思う。


ほんと、聴けば聴くほどカッコいい曲なんだけどな。
なんでだろ。
ラッツの曲をシャッフルで流してて、不意に“ラブ・ミー・ドゥ”のイントロが流れてくると、なぜか「あれ? この曲、なんだっけ」と思っちゃうことがある。

サビの印象が強すぎて、イントロが印象に残りにくいんだろうか。

《シャネルズ4部作》ハリケーン

“ランナウェイ”
“トゥナイト”
“街角トワイライト”
“ハリケーン”

《シャネルズ4部作》最後は“ハリケーン”。

“ハリケーン”は、歌詞が小説読んでるみたいで好きだったな。
小学生の頃は絵を描くのが好きで、漫画家になりたいと思ってた時期でもあったから、“ハリケーン”の歌詞で漫画描いたりしてた気がする。

なんていうか、ほんとシャネルズオタクだったんだよね。


YouTubeのコメントで「この曲は“ルージュの伝言”のアンサーソング」っていうのを見かけて、電車とかメモとか確かに重なる部分は多いし「ほうほうなるほどね」と思ってたんだけど、実際のところ“ハリケーン”のヒロインは、彼のママのところへは行かないだろうな。

“ルージュの伝言”のヒロインは浮気した彼が追いかけてくることを見越して姿を消してるけど、“ハリケーン”のヒロインは多分そう簡単には戻ってこない。完全にウォーリー(もう探さないでください)モードだと思うよ。
ノリのいい曲だけど、曲調は明るくないし、そういう切実さを感じる。

私はずっと、“街角トワイライト”は“ハリケーン”よりあとの曲だと思ってたんだけど、この歌詞のせいもあるのかな。
“ハリケーン”で消えたヒロインを探し続ける“街角トワイライト”。そういうイメージを勝手に抱いていたのかもしれない。


あと、“ハリケーン”もすごくカッコイイ曲なのに、“街角トワイライト”がいろんな意味で完璧すぎて、この順番だと“ハリケーン”に物足りなさを感じてしまうのも、ちょっと残念なところ。


そうはいっても、私は“ハリケーン”好きだけどね。
とくに動画で見るなら、“街角トワイライト”よりも“ハリケーン”の方が久保木さんの可愛さが際立ってていい。

朴訥とした感じのダンスも、コーラスで聞こえてくる声も、その歌い方や表情も。
好きだな。

ハリケーン


まぁ、でも“ハリケーン”といえば、やっぱりあれだよね。
佐藤さんのパート。

「Every day the どしゃ降り」

の、歌詞。
あのフレーズには、“愛をとりもどせ!!”の「Youはshock」にも負けない破壊力があるよね。

《シャネルズ4部作》街角トワイライト

“ランナウェイ”
“トゥナイト”
“街角トワイライト”
“ハリケーン”

《シャネルズ4部作》第3弾。

第3弾なんだけど、今までずっと“街角トワイライト”は“ハリケーン”よりもあとの曲だと思ってた。
なんでだろ。

“街角トワイライト”って、“ルビーの指環”と同時期にリリースにされてるんだね。知らなかった。

“街角トワイライト”には、「夕闇迫る街角で お前によく似たプロフィール」っていう歌詞があるでしょ。
小学生の頃、プロフィール帳とかいうのが流行ったこともあって、私、プロフィールってずっと「人物紹介」とか「自己紹介」的な意味でしか捉えてなかったの。

で、この「夕闇迫る街角で お前によく似たプロフィール」って歌詞の意味がわからなくてプロフィールの意味を辞書で調べたら、なるほど「横顔」という意味があるのかって、初めて知った。


“街角トワイライト”と“ルビーの指環”って、基本ストーリーが同じなんだよね。
要は、去っていった女の面影を探し続ける男の話。

“ルビーの指環”のなかの「ルビーのリング」が、“街角トワイライト”の「俺のイニシャルのペンダント」で、“街角トワイライト”のなかの「夕闇迫る街角で お前によく似たプロフィール」という歌詞が、“ルビーの指環”の「街でベージュのコートを見かけると」という歌詞と重なる。

でも、“ルビーの指環”の方が大人の歌だな。

“街角トワイライト”の方はまだ去っていった彼女を追いかけようとする若さがあるけど、“ルビーの指環”の方はそんな気力もないっていうか。
歌詞だけじゃなくて、寺尾聰さんの当時の年齢とか風貌とか歌い方とか、いろんなものが相まって大人の哀愁を感じさせるんだろうけど。

それに鈴木さんの声には、どんな別れの曲を歌っても希望を感じさせる強さがある。


でも、改めて聴くと“街角トワイライト”って、本当に完璧な曲だなと思う。

まず、タイトルがいい。
そして、アカペラのイントロダクション。
Doo-wopらしいコーラス。
サビの部分で転調するところもバックのサウンドもドラマチックで、若さゆえの情熱とか焦燥感を脳で感じとることができる。

あと、振りもいいね。
YouTubeに上がってるシャネルズとラッツ&スターの動画はひと通り見たし、どれもすごく好きなんだけど、やっぱり“街角トワイライト”がいちばんよくできてる気がする。
あの振りが、黒人ダンスの基本形とすら思えてくるよ。

個人的には、“週末ダイナマイト”の振りがいちばん好きだけどね。

《シャネルズ4部作》トゥナイト

“ランナウェイ”
“トゥナイト”
“街角トワイライト”
“ハリケーン”

《シャネルズ4部作》第2弾。
歌詞の半分くらいが「tonight!」で埋めつくされているような気がする曲。

私、YouTubeでシャネルズのステージを見るようになって、そのカッコよさの虜になってるところなんだけど、この“トゥナイト”に関しては、映像なしでもいいかなと思う。

歌詞はすごくシンプルなのに(ほぼ「tonight!」だし)目を閉じてこの曲を聴いてると、なぜかいろんな光景が浮かんでくる。


過去の記憶とか、根も葉もない妄想とか、いろんなものが頭の中を駆け巡るんだけど、これがなかなか幸せな時間なの。
しかも、歌詞のない間奏部分が、いちばん想像力を掻き立てられるという不思議な曲。

多分、これがコーラスの力なんだろうな。
「ヤーヤヤヤー」とか「リンガリンガリンガ」とか、文字にするとなんかうるさい感じだけど、実際に耳で聴いてみると、あっという間に別世界に引き込まれちゃうから。
桑野さんのトランペットもいいし。


ちなみにこの曲、4部作の中では唯一の明るめの曲でもある。

だけど、ストーリーは“ランナウェイ”とほぼ同じ。二人で俗世を逃げ出して、ただ愛し求め合う歌だ。


ご存じだろうか。
スター誕生に桜田淳子ちゃんが出たとき、「すごい子がいる!」と騒ぎになったという話。そして、その次の回で山口百恵ちゃんが出てきたときには、「暗い淳子がいる!」と、また騒ぎになったのだとか。


いうなればこんな感じ。私が“トゥナイト”に対して抱いているイメージとは、ちょっと明るい“ランナウェイ”なのだ。


また、アルバムで聴いている分には「名曲」とまで感じないのに、コンサートやライブになると、とたんに化ける曲というのがある。

私にとってはサザンオールスターズの“YOU”という曲がそれなんだけど(ライブ行ったことないけど)、シャネルズの“トゥナイト”も、多分その部類に入るんじゃないかな。
『BACK TO THE BASIK』に収録されていた、代々木第一体育館でのライブVer。あれは、よかったよね。トランペットのアレンジもすごく素敵だし。

ただ、これだけは言いたい。

“トゥナイト”の曲の終わり方。あれだけは、なんか違うと思うんだ。
この曲には、なんかもっと違う終わり方があるんじゃないかと、聴くたびに思ってしまう。

“街角トワイライト”よりも、もう少し“ランナウェイ”寄りの終わり方にならないかなぁ。

《シャネルズ4部作》ランナウェイ

“ランナウェイ”
“トゥナイト”
“街角トワイライト”
“ハリケーン”

これを、私は勝手に《シャネルズ4部作》と呼んでいる。

実をいうと、ランナウェイがデビュー曲だということは知っていたけれど、この4曲がデビューからの4作品だということは、最近まで知らなかった。

ただ、いろいろなアルバムに入っているから、この4曲はシャネルズにとって主要なポジションにある曲なんだろうな、とは思っていたけれど。

“憧れのスレンダー・ガール”と“涙のスウィート・チェリー”も定番だけど、上の4曲とはちょっと毛色が違うもんね。

だから、《シャネルズ4部作》。


私はシャネルズのデビューをリアルタイムで見ていたわけではないので、「ランナウェイを聴いて衝撃を受けた」というような経験がない。

なにせ、気付いたら聴いていた曲だし。

しいて言うなら、“ランナウェイ”を聴いたときに「あ、スタンド・バイ・ミーだ」と思ったのを覚えている。

いや、逆だな。
“ランナウェイ”を先に聴いていたはずだから、ベン・E・キングの“Stand By Me”を聴いて、そのあと改めて“ランナウェイ”を聴いたときに、

「スタンド・バイ・ミーと同じだ」

って、思ったんだろうな。

物心ついた頃からずっと聴いていた曲なだけに、“ランナウェイ”に対して特別な感想を持ったといえば、それくらい。

飽きるほど聴いてる曲だし、実際CD流してても「今日はランナウェイはいいや」って飛ばしちゃうこともあるし。


ただ、“ランナウェイ”は曲がシンプルなせいか、楽器隊の演奏がすっと頭に入ってくるから好き。

間奏のトランペットもいいけど、この曲はとくにギターとピアノがいい。この音色とリズムを聴いていると、日によってすごく心が癒される。

鈴木さんの声と、メンバーのコーラスと、楽器隊の演奏と。私の中では、それだけ揃ってようやく本物の“ランナウェイ”なんだよね。


あ、あと「ランナウェイ」の意味がわからなかったから、辞書で調べたことがあったな。

おっとりとしたロマンティックな曲という印象だったので、小学生の私は「逃げる」という言葉の意味になんとなく違和感を持ったんだけど、大人になった今なら、ちょっとわかる気がする。

恋をすると、あるんだよね。二人だけで、どこか遠くへ逃げたくなる瞬間が。

憧れのスレンダー・ガール/月下美人(ムーンライト・ハニー)

“憧れのスレンダー・ガール”は、好きじゃない人はまずいないと思う。

イントロで、いきなりハッとさせられる曲。

私にとって「いい女」のイメージっていうと、このスレンダーガールそのもので(一種の刷り込み現象か)、少女の頃からずっと憧れ続けて今に至る。


そして、この曲と対になるのが“月下美人(ムーンライト・ハニー)”。

この曲も多分、嫌いな人はいないと思うんだけどなぁ。ちゃんと聴いてもらえれば。

対になるっていうのは、あくまでも私個人の感じ方なんだけど、アルバム『14 CARATS』を買って、初めて“月下美人(ムーンライト・ハニー)”を聴いたとき。

思ったんだよね、「大人のスレンダーガールだ」って。


突き抜けるようなトランペットの音で始まる“憧れのスレンダーガール”に対して、“月下美人(ムーンライトハニー)”のトランペットはミュートで音を抑えてるのも象徴的。

いちいち想像力(妄想力)をかきたてられる。


ちなみに、これも私の妄想で『SING!SING!SING!』の中の“マドンナはお前だけ”はムーンライトハニーの、“雨の日のローラ”はスレンダーガールの「その後」を歌った曲だと、勝手に思っている。

さらに、スレンダーガールとムーンライトハニーは同一人物であるという仮説を立ててみる。

“憧れのスレンダーガール”には「夕陽にスリムなシルエット」という歌詞があって、“月下美人(ムーンライトハニー)”には「5時の影がお前のことを…」という歌詞がある。

つまり、夕方5時を境とした、昼と夜の2つの顔を持つ女の歌なのでは?

と、想像するわけだ。


すると、また別のものが見えてくる。

夜の男を捨て(“マドンナはお前だけ”)、昼の男の元へ戻る(“雨の日のローラ”)。そんな女の姿である。


本当に、ラッツ&スターの曲にはドラマがあるよね。

あくまでも、私の創作だけど。

週末ダイナマイト

ラッツ&スターが私の住む町でコンサートをすることになったとき、テレビの宣伝で流れたのが“週末ダイナマイト”だった。

『ダンス!ダンス!ダンス!』は、シャネルズとラッツ&スターすべてひっくるめて1位、2位を争うほどよく聴いていたアルバムなので、“週末ダイナマイト”もそれこそ飽きるくらい聴いている。

この曲がシャネルズ名義での最後のシングル曲だということは、最近まで知らなかったけど。

シャネルズの曲は、ダンスパーティーを描写した歌がわりと多い。
正直、私みたいな田舎の子にはまったくピンとこない。

でも、だからよかったんだろうな。

あこがれっていうのはとくになかったけど(そもそも別世界すぎて)、映画を見る感覚で歌を聴いていたような気がする。


そして、この“週末ダイナマイト”。
動画を見てから、ガラリと印象が変わった曲でもある。

とにかく、振り付けが秀逸なのだ。

フロントのコーラス隊が、マリオネットのようにゆらゆら踊る。

もうリアルに“おもちゃのチャチャチャ”の世界。都会のダンスパーティーが、一転しておもちゃのおまつりだ。

とくに「胸騒ぎが(わっくわく)」の振りがあまりにもキュートで(ピンクのジャケットがまたいい)、見ているこっちがわくわく胸騒ぎだよ。
もう、興奮しすぎて血圧上がりそう。どうしてくれる。

あの振りを、いわゆる美少年ではなくヒゲとサングラスのシャネルズがやっているというのが、またいいんだよね。

とくに久保木さんのダンスは「とめ、はね、はらい」がきちっとしているから、だんだんと本物のマリオネットに見えてくる。

もう可愛すぎて卒倒しそう。
田代さんはやっぱり天才だなと、改めて実感した。

今夜はフィジカル

小学校・中学校時代は、母から奪ったシャネルズ時代のレコードだけを聴いていたので、ラッツ&スターになってからの曲を聴いたのは、多分、高校生になってからか、もしくは大人になってからだったと思う。

だから、“め組のひと”も知ってはいたけど、自分でCD買うまではちゃんと聴いたことがなかった。

当然ながら、小学校に入るより前から(母に)聴かされ続けたシャネルズ時代の曲の方が、思い入れは強い。


そうは言っても、ラッツ&スター以降の曲が嫌いなわけじゃない。

シャネルズ時代に比べて路線はかなり変わったけど、いい曲はたくさんある。

アルバム『SOUL VACATION』に収録されている“今夜はフィジカル”は、ラッツ&スター以降の曲の中ではインパクトもあるし、かなり好きな方。

それまで「フィジカル」とか「マッチョ」なんて言葉を耳にしたことなかったので、1つひとつ辞書で調べていった。

いや、もしかしたらフィジカルは英語の授業で習ってたのかもしれないけど。

とりあえず、歌詞の雰囲気から「そういう歌なんだな」というのは、なんとなく理解できた。

ただ、「マッスルマン」と「マッチョマン」の違いがわからず、アホみたいに悩んだ。

夜、布団の中で歌を聴き、歌詞の情景をそのまま脳裏に思い描きながら眠りに落ちるのが習慣だったのだが、その妄想のなかでマッスルマンとマッチョマンをうまく描き分けできなかったのだ。


そして、見つけてしまった。

ラッツが”今夜はフィジカル”を歌っている動画を。

久保木さんのアップから始まる、めちゃくちゃ貴重でしょっぱなから私をドキドキさせてくれる映像なんだけど、フロントの4人がドイツの軍服みたいな衣装を着てるの。


歌詞の内容とコスチュームが、なんとなくビレッジピープルと重なった。

ビレッジピープルの“Y.M.C.A”も、定期的に聴きたくなる曲のひとつ。


ビレッジピープルは、メンバーチェンジしながら今も活動を存続してる。
だけど、私はラッツ&スターにはそれを望まない。

鈴木さん自身も『シャネルズ/ラッツ&スター』のなかで、そう言ってたよね。今も同じ気持ちでいてくれると、信じたい。

ラスト・ワーズ/星くずのダンス・ホール

ラッツのバラードといえば、知名度でも人気度でも、まず“涙のスウィート・チェリー”と“Tシャツに口紅”が挙がると思う。

私も、もちろん好き。


でも、いちばん好きなのはアルバム『Hey!ブラザー』に収録されている“ラスト・ワーズ”。

“涙のスウィート・チェリー”や“Tシャツに口紅”には、胸が締め付けられるような切なさがあるけど、“ラスト・ワーズ”は同じスロー・ナンバーでも鬼気迫るものがある。

「お前の震える…」「笑顔がこんなに…」の二段階で転調するところとか、あとハモリの効果もあるのかなぁ(あのハモリは誰なんだろう)。


とにかく、私にとって深い印象的を残した曲。

どれだけ印象深かったかというと、小学校6年生の時。卒業文集に寄せるメッセージに一言タイトルをつけなきゃならなくて、そこに“ラスト・ワーズ”って書いたほど。

渋すぎだろ、小学6年生。


あと、“星くずのダンス・ホール”もいい。

『ダンス!ダンス!ダンス!』に収録されていた曲。

ひたすらロマンティックな曲で、サビの部分のコーラス「ポンポンポンポン」とギターの音色が、まるで夢見てるような気分にさせてくれる。

シャネルズの真骨頂。

“夢で逢えたら”も、“星くずのダンス・ホール”に近い雰囲気がある。
すごくロマンティックで、夢みたいな曲。

今となっては、夢そのものかもしれない。

ハリケーン

最近とくに気に入ってる動画があってね。

“ハリケーン”の「ハリケーン」「ハリケーン」「ハリケーン!」って、鈴木さんのリードをコーラスが追いかけるところあるでしょ。

あれ、最後の「ハリケーン!」は、久保木さんと桑野さんなんだよね。

でも、桑野さん声量あるし(さすがトランペット吹いてるだけのことあるね)声がスコーンと抜けるから、聞こえてくるのは、どうしても桑野さんの声になる。


でも、ひとつだけ。ひとつだけ、久保木さんの「ハリケーン」が、はっきりと聞こえる動画があるの。

歌番組の映像なんだけど、どうやらその日は桑野さんがお休みだったみたいで、久保木さんのひとり「ハリケーン」。

すっかり桑野さんの声メインの「ハリケーン」に慣れちゃってたけど、久保木さんの「ハリケーン」が、結構いいの。とにかくいいの。

もちろん、私が久保木さん好きだから、欲目というか、必要以上によく感じたっていうのはあるかもしれないけど。

それを抜きにしても、あの「ハリケーン!」は久保木さんの声のよさがよくわかる。一言でいうなら、大人の男の声。

桑野さんの声みたいな伸びやかさがない分、ちょっと切なげで、胸に迫る感じがたまらないのだ。


しかも、桑野さんがいないから、久保木さんいつもより声張らなきゃいけないでしょ。

「ハリケーン」でアップになったときの、ちょっと眉間を寄せた、でもちょっと笑ってるようにも見える表情が、またいいの。

もう、あの久保木さんを等身大で部屋に飾っておきたい。