ラッツ&スターは不死鳥か

“ランナウェイ”で97.5万枚を売り上げ、シャネルズとして華々しくデビュー。

不祥事による半年間の謹慎期間を経て、“街角トワイライト”をリリース。71.7万枚を売り上げての完全復活。

シャネルズからラッツ&スターに改名し、1枚目となるシングル“め組のひと”で62.2万枚の大ヒット。

そして、1996年の再集結。
通算18枚目となるシングルで大瀧詠一さん作詞・作曲の“夢で逢えたら”をカバーし、44万枚を売り上げ。
多くのアーティストがカバーしてきたというこの曲を、初のヒットに導く。


ラッツ&スター。


何度でも、不死鳥のように蘇ってくる。
ここぞというときに力を発揮するのが、ラッツ&スター。
ここまでの底力をもったグループは、ほかにないんじゃないだろうか。


ラッツ&スターは、まだ終わってない。
もう一度、メンバー全員が揃って息を吹き返してくれるって、私は信じてるからね。

《シャネルズ4部作》ハリケーン

“ランナウェイ”
“トゥナイト”
“街角トワイライト”
“ハリケーン”

《シャネルズ4部作》最後は“ハリケーン”。

“ハリケーン”は、歌詞が小説読んでるみたいで好きだったな。
小学生の頃は絵を描くのが好きで、漫画家になりたいと思ってた時期でもあったから、“ハリケーン”の歌詞で漫画描いたりしてた気がする。

なんていうか、ほんとシャネルズオタクだったんだよね。


YouTubeのコメントで「この曲は“ルージュの伝言”のアンサーソング」っていうのを見かけて、電車とかメモとか確かに重なる部分は多いし「ほうほうなるほどね」と思ってたんだけど、実際のところ“ハリケーン”のヒロインは、彼のママのところへは行かないだろうな。

“ルージュの伝言”のヒロインは浮気した彼が追いかけてくることを見越して姿を消してるけど、“ハリケーン”のヒロインは多分そう簡単には戻ってこない。完全にウォーリー(もう探さないでください)モードだと思うよ。
ノリのいい曲だけど、曲調は明るくないし、そういう切実さを感じる。

私はずっと、“街角トワイライト”は“ハリケーン”よりあとの曲だと思ってたんだけど、この歌詞のせいもあるのかな。
“ハリケーン”で消えたヒロインを探し続ける“街角トワイライト”。そういうイメージを勝手に抱いていたのかもしれない。


あと、“ハリケーン”もすごくカッコイイ曲なのに、“街角トワイライト”がいろんな意味で完璧すぎて、この順番だと“ハリケーン”に物足りなさを感じてしまうのも、ちょっと残念なところ。


そうはいっても、私は“ハリケーン”好きだけどね。
とくに動画で見るなら、“街角トワイライト”よりも“ハリケーン”の方が久保木さんの可愛さが際立ってていい。

朴訥とした感じのダンスも、コーラスで聞こえてくる声も、その歌い方や表情も。
好きだな。

ハリケーン


まぁ、でも“ハリケーン”といえば、やっぱりあれだよね。
佐藤さんのパート。

「Every day the どしゃ降り」

の、歌詞。
あのフレーズには、“愛をとりもどせ!!”の「Youはshock」にも負けない破壊力があるよね。

《シャネルズ4部作》街角トワイライト

“ランナウェイ”
“トゥナイト”
“街角トワイライト”
“ハリケーン”

《シャネルズ4部作》第3弾。

第3弾なんだけど、今までずっと“街角トワイライト”は“ハリケーン”よりもあとの曲だと思ってた。
なんでだろ。

“街角トワイライト”って、“ルビーの指環”と同時期にリリースにされてるんだね。知らなかった。

“街角トワイライト”には、「夕闇迫る街角で お前によく似たプロフィール」っていう歌詞があるでしょ。
小学生の頃、プロフィール帳とかいうのが流行ったこともあって、私、プロフィールってずっと「人物紹介」とか「自己紹介」的な意味でしか捉えてなかったの。

で、この「夕闇迫る街角で お前によく似たプロフィール」って歌詞の意味がわからなくてプロフィールの意味を辞書で調べたら、なるほど「横顔」という意味があるのかって、初めて知った。


“街角トワイライト”と“ルビーの指環”って、基本ストーリーが同じなんだよね。
要は、去っていった女の面影を探し続ける男の話。

“ルビーの指環”のなかの「ルビーのリング」が、“街角トワイライト”の「俺のイニシャルのペンダント」で、“街角トワイライト”のなかの「夕闇迫る街角で お前によく似たプロフィール」という歌詞が、“ルビーの指環”の「街でベージュのコートを見かけると」という歌詞と重なる。

でも、“ルビーの指環”の方が大人の歌だな。

“街角トワイライト”の方はまだ去っていった彼女を追いかけようとする若さがあるけど、“ルビーの指環”の方はそんな気力もないっていうか。
歌詞だけじゃなくて、寺尾聰さんの当時の年齢とか風貌とか歌い方とか、いろんなものが相まって大人の哀愁を感じさせるんだろうけど。

それに鈴木さんの声には、どんな別れの曲を歌っても希望を感じさせる強さがある。


でも、改めて聴くと“街角トワイライト”って、本当に完璧な曲だなと思う。

まず、タイトルがいい。
そして、アカペラのイントロダクション。
Doo-wopらしいコーラス。
サビの部分で転調するところもバックのサウンドもドラマチックで、若さゆえの情熱とか焦燥感を脳で感じとることができる。

あと、振りもいいね。
YouTubeに上がってるシャネルズとラッツ&スターの動画はひと通り見たし、どれもすごく好きなんだけど、やっぱり“街角トワイライト”がいちばんよくできてる気がする。
あの振りが、黒人ダンスの基本形とすら思えてくるよ。

個人的には、“週末ダイナマイト”の振りがいちばん好きだけどね。

《シャネルズ4部作》トゥナイト

“ランナウェイ”
“トゥナイト”
“街角トワイライト”
“ハリケーン”

《シャネルズ4部作》第2弾。
歌詞の半分くらいが「tonight!」で埋めつくされているような気がする曲。

私、YouTubeでシャネルズのステージを見るようになって、そのカッコよさの虜になってるところなんだけど、この“トゥナイト”に関しては、映像なしでもいいかなと思う。

歌詞はすごくシンプルなのに(ほぼ「tonight!」だし)目を閉じてこの曲を聴いてると、なぜかいろんな光景が浮かんでくる。


過去の記憶とか、根も葉もない妄想とか、いろんなものが頭の中を駆け巡るんだけど、これがなかなか幸せな時間なの。
しかも、歌詞のない間奏部分が、いちばん想像力を掻き立てられるという不思議な曲。

多分、これがコーラスの力なんだろうな。
「ヤーヤヤヤー」とか「リンガリンガリンガ」とか、文字にするとなんかうるさい感じだけど、実際に耳で聴いてみると、あっという間に別世界に引き込まれちゃうから。
桑野さんのトランペットもいいし。


ちなみにこの曲、4部作の中では唯一の明るめの曲でもある。

だけど、ストーリーは“ランナウェイ”とほぼ同じ。二人で俗世を逃げ出して、ただ愛し求め合う歌だ。


ご存じだろうか。
スター誕生に桜田淳子ちゃんが出たとき、「すごい子がいる!」と騒ぎになったという話。そして、その次の回で山口百恵ちゃんが出てきたときには、「暗い淳子がいる!」と、また騒ぎになったのだとか。


いうなればこんな感じ。私が“トゥナイト”に対して抱いているイメージとは、ちょっと明るい“ランナウェイ”なのだ。


また、アルバムで聴いている分には「名曲」とまで感じないのに、コンサートやライブになると、とたんに化ける曲というのがある。

私にとってはサザンオールスターズの“YOU”という曲がそれなんだけど(ライブ行ったことないけど)、シャネルズの“トゥナイト”も、多分その部類に入るんじゃないかな。
『BACK TO THE BASIK』に収録されていた、代々木第一体育館でのライブVer。あれは、よかったよね。トランペットのアレンジもすごく素敵だし。

ただ、これだけは言いたい。

“トゥナイト”の曲の終わり方。あれだけは、なんか違うと思うんだ。
この曲には、なんかもっと違う終わり方があるんじゃないかと、聴くたびに思ってしまう。

“街角トワイライト”よりも、もう少し“ランナウェイ”寄りの終わり方にならないかなぁ。