大瀧詠一さんと“FUN×4”

私が大瀧詠一さんの存在をハッキリと認識したのは、ドラマ『ラブジェネレーション』の主題歌である“幸せな結末”が大ヒットしたとき。

基本的にあまりテレビを見ない人間で、ドラマの類もほとんど見ないため、『ラブジェネレーション』のストーリーはよく知らないけれど、この主題歌は聴いた瞬間「あ、これ好き」と思った。
歌詞もメロディーも声も、全部がいい。

「これ、大瀧詠一の歌なんだ」

って思った記憶があるから、大瀧詠一さんの名前は知ってたんだと思う。

そりゃそうだよね、ラッツ&スターが再集結で“夢で逢えたら”を歌った次の年だもん。
そもそも、私が“Tシャツに口紅”や“星空のサーカス”を作曲した人の名前を知らなかったはずがないし。

ただ、大瀧詠一さんを歌手として認識したのは、そのときが最初だったと思う。


それから、さらに20年がたったある日のこと。
仕事中、移動のために当時の勤務先の社長の車に同乗していたところ、オーディオからシュールでポップな音楽が流れてきた。優しげなのに、どこか淡泊な男性歌手の声。

なにこれ、誰の歌?
聴いた瞬間すごく好きだと思ったけど、社長に「これ誰のCDですか?」と質問することもできず悶々としていると、

「一人で二人で三ツ矢サイダー」

という聞き覚えのあるフレーズが。
その日の休憩時間に、頭の片隅に残っていたそのフレーズをスマホで検索する。

「あれ、大瀧詠一だったんだ……」

歌手・大瀧詠一を認識した二度目の出来事。


でも、そのときはまだ知らなかったんだ。
ラッツ&スターと大瀧詠一さんの間に、デビュー前からの深い関係性があったこと。

私が10代の頃ってインターネットも普及してなかったし、ラッツ&スターの情報を得る手段なんて、ほとんどなかったもんね。
ほんとに何も知らなかったんだな、私。


私は、大瀧詠一さんの曲のなかでは“FUN×4”がいちばん好きなんだけど、この曲のコーラスのほんのワンフレーズだけ、ラッツ&スターが歌ってるんだよね。

それを知ったときの衝撃といったら、もう。

もともとのラッツ&スターや大瀧詠一さんのファンにとっては当たり前のことも、一世代あとで生まれた私には、1つひとつの事実が新鮮な驚きをもたらしてくれる。


ラッツ&スターに“FUN×4”歌ってほしいなぁ。
できれば、この曲はフロント4人全員のソロが欲しい。
ワンコーラスごとに、

1番 佐藤善雄
2番 久保木博之
3番 田代まさし
4番 鈴木雅之

の順でどうでしょうか。
久保木さんのソロパートに合わせて「散歩しない?」って、最大限に可愛い声で合いの手入れたい。

(追伸)月に吠える役目は、もちろん新保さんでお願いします。

マドンナはお前だけ

ラッツ&スター以降の曲としては、めずらしくドゥーワップらしいドゥーワップ。
この曲に惹かれるって、私やっぱりドゥーワップが好きなんだな。
私の心のBEST12には入らなかったけど、BEST15だったら多分入ってたと思う。

っていうか、BEST12を“雨の日のローラ”にするか“マドンナはお前だけ”にするかで、結構悩んだんだよね。

前にも書いたことあるけど、この曲のマドンナは私のなかで“月下美人(ムーンライト・ハニー)”のハニーと重なる。

ヒロイン像は全然違うんだけどね。どっちも短調の曲だからかな。

そのせいか、“月下美人(ムーンライト・ハニー)”のハニーには高飛車なイメージがあるけど、本当はこのマドンナみたいな傷つきやすい女性なんじゃないかって。
勝手に妄想のふくらむこと、ふくらむこと。


もうひとつ、“マドンナはお前だけ”から連想されるのは“ハリケーン”。

タイトルこそ「お前だけ」なんて甘い匂いを漂わせているものの、この曲も実際は「雨」とか「嵐」とか「ゆれて沈んでズブ濡れて」みたいな、心の荒み具合を表した箇所が多い。
それよりなにより、冒頭から鳴り響くティンパニの音は雷鳴以外の何ものでもないだろう。


ちなみにこの曲は、ラッツ&スターが合同結婚式のあと、某歌番組で花嫁さんたちを会場へ連れてきて、タキシード姿で歌った曲。

実はこの映像もYouTubeに上がってたんだけど、数えるほどしか見ないうちに消されてしまった。
あの動画、好きだったのにな。残念。

振りもシャネルズ時代とは違って、ちょっとジャズダンスっぽい感じ?
ダンスのジャンルはよくわからないんだけど、明らかに難易度が上がってる。

でさ、悔しいことに、そのときの久保木さんがホントにうれしそうで。奥さんの顔をのぞき込むときの表情が、すごく優しくて。久保木さんの奥さんも、ひとりだけずっと泣いてて。
ホントに悔しいけど、「幸せそうだな~」って思って見てた。

もう見れないのか、あの動画。


でも、これだけは言いたい。
“マドンナはお前だけ”ってタイトルはいいけど、あれ失恋ソングだからね!
タイミング的に仕方なかったのかもしれないけど、もうちょっと幸せそうな曲を歌ってもらうわけにはいかなかったのか。

私が19歳か20歳の頃、初めて彼氏ができたんだけど、そのとき彼氏の友だちが、

「お前らのために歌ってやるよ」

って、カラオケでサザンの“YaYa (あの時代を忘れない)”を歌い出したんだよね。
心のなかで思わず「失恋ソングだよ、それ!」って突っ込んだのと、本人も歌いながら少し気まずい顔してたこと、思い出しちゃった。

マイ・ラブ/夢見る16歳

車のなかでラッツ&スターの曲を延々と流し続けていたとき、曲が“マイ・ラブ”に変わってしばらくすると、後部座席に乗っていた中学生の娘が突然、

「この歌いいね」

と、言い出した。

「こういう歌が好きなの?」

ときいてみたら、

「私、恋愛ソング好きなんだけど、最近の歌って表現が遠回しな歌詞が多いからさ」

うんうん。

「リンリンリリンって歌あるでしょ」

はいはい、フィンガー5の“恋のダイヤル6500”ね。

「あの歌の女の子のソロパートの歌詞とか、可愛くて好きなんだ」

「あなたが好~き、死ぬほど好~きってやつね」

「そう。だから、こういう感じの歌も好き」

「昔の恋愛ソングは歌詞がストレートだからね」

「それな」

私と似てるのは顔だけで趣味嗜好はひとつも一致しないと思っていた娘と、まさかこんなところで話が合うとは思わなかった。


佐藤さんソロのラブ・ソングというと、佐藤善雄×桑野信義ボーカルの“夢見る16歳”の方が人気も知名度もあるイメージだけど、実は私は昔から、佐藤善雄×鈴木雅之ボーカルの“マイ・ラブ”の方が好きだった。

だから、娘が「いい歌」って言ってくれたのが、ちょっとうれしい。


どちらもゆったりとした、すごく可愛くてロマンティックな雰囲気の曲。

“夢見る16歳”は、桑野さんが16歳の少女の気持ちを、佐藤さんがちょっと大人な男性の気持ちを、掛け合うように歌っている。
桑野さんの透明感ある声を引き立たせるためか、この曲で聴く佐藤さんの声はほかの曲より一層低い。

一方で“マイ・ラブ”は、“木綿のハンカチーフ”の男女逆バージョン。都会へ旅立っていった恋人を遠くから見守り、やがて離れていく彼女の気持ちに心を傷める曲。
“木綿のハンカチーフ”とか“夢見る16歳”みたいな男女の掛け合いではなく、鈴木さんが彼氏の本音を、佐藤さんが彼氏の建前を歌っている。

優しく語りかけるような佐藤さんの低音と、絞り出すような鈴木さんのハスキーボイス。どこか寂しげなフルートの音色……。


そういえば、YouTubeにアップされた新宿ルイードのライブ音源のなかに“マイ・ラブ”の入ってる音源がひとつあるんだけど、その“マイ・ラブ”の本音パートを歌ってたの、鈴木さんじゃなかったな。多分、桑野さん。
桑野さんのシャウトもかなりよくて、このバージョンもありだなと思った。


で、実はステージで“マイ・ラブ”を歌ってる動画もひとつあるんだよね。

あるんだけど、佐藤さんがあの甘い低音で愛を囁きながら客席に近づいて、ステージの上に足を投げ出して座り、客席の女の子たちに向かって語りかけるように歌うわけ。あのルックスで。

あれは、さすがにズルいでしょ。
あんなことされたら、目の前の女の子たちメロメロだよ。
多分、みんな惚れちゃうね。私以外。

(追記)あとで確認したら、この動画でも桑野さんが鈴木さんパートを歌ってた。この曲のソロは鈴木さんか桑野さん、どっちが正解なの?

masayuki suzuki taste of martini tour 2023 ~SOUL NAVIGATION~

今年の夏の一大イベント。
鈴木雅之さんのコンサートへ行ってきた。

ラッツ&スターめちゃくちゃ好きなのに、なぜかこれまで「鈴木さんのコンサートに行こう」と思ったことは一度もなかった。
デビューから活動休止までの流れをまったく知らない私にとって、ラッツ&スターと鈴木雅之というヴォーカリストはまったくの別モノだったのだ。

それは、田代さんや桑野さんにしても同じ。
バラエティで活躍していた彼らは、私にとってラッツ&スターの田代さんや桑野さんとはまったくの別モノ。ラッツ&スターの田代さんとか桑野さんとして見たことは、多分ない。

だから、私が今まで「鈴木さんのコンサートへ行こう」と思わなかったのも、ごく当たり前のことなのだ。

それなのに、今年はどういう風の吹き回しか「鈴木さんのコンサートに行ってみよう」という気になった。

ただ待ち続けることに疲れたのかもしれない。
ラッツ&スターの再集結への期待を断ち切るきっかけが、そろそろ必要になってきたのかもしれない。

だけど、心のどこかで、鈴木さんのコンサートへ行くことがラッツ&スターへの裏切りになるような気もしていた。
多分、メンバーの人たちは誰もそんなこと思わないだろうけど。


だから、「鈴木さんのコンサートへ行こう!そうしよう!」と大手を振って申し込む気にもなれず、結局、悩んで悩んで応募締め切りの数時間前に申し込んだ。

悩みはしたものの、当日になるとそれなりに胸が騒ぐ。
「この色、なんとなくラッツ&スターっぽくない?」と、私はターコイズグリーンのダボっとしたセットアップを着て、夫の前でファッションショー。完全にワクワクしている。

会場に入り、自分の席を探す。
いちばん後ろの、真ん中の席。

なんとなく落ち着かなくて、席に座ったままキョロキョロしていると、近くの席に座っていた女性が持っているグッズ(タオル)の文字色が、私の服と似たような色であることに気付く。
どうやら、ニューアルバム【SOUL NAVIGATION】のイメージカラーらしい。
意図せずして、今回のコンサートのイメージカラーを全身にまとってきてしまったようだ。


感想を書きだすと長くなるので端折るけど、とりあえず鈴木さんがステージ上に姿を現したときには、なんともいえない気持ちになった。

感動とか興奮とは違う、静かで穏やかな気持ち。

「ああ、本物の鈴木さんだ……」

という、感慨深い想い。
小学生の頃、ラッツ&スターのコンサートで初めて彼らを見たときも、こんな気持ちだったのかな。
いや、あのときはもっと興奮したような気がするな。

ツアー真っ只中だというのに、60代半ばを過ぎても変わらない、鈴木さんの声量と歌唱力。
笑いを交えたMCは、ラッツ&スターのステージを彷彿とさせる。
最近の歌はあまり聴き慣れないけど、鈴木さんの歌はどれもよかった。
悩んで悩んで申し込んだわりには、普通に楽しんでいたと思う。


ただ、どうしても悲しくなる瞬間がある。
“め組のひと”とか“夢で逢えたら”は、べつにいいんだ。
曲そのものが有名すぎて、いろんな人がカバーしてるし、誰が歌っても、鈴木さんがひとりで歌っても、そういう曲として楽しめる。

でも、“Miss You”はダメ。
だって、あれはどう聴いたってラッツ&スターの歌なんだもん。
イヤでも聞こえちゃうでしょ、あの人たちのコーラスが。頭の中で。


鈴木さんのコンサートは本当に楽しかったし、歌もよかったし、満足できるものだった。鈴木さんの穏やかな語り口調にも癒やされた。
なんなら、また行きたいなと思う。

だけど、これがもしラッツ&スターのコンサートだったら、私きっと「楽しい」よりもボロボロ泣いちゃうんだろうな。

鈴木さん、ごめんなさい。
私はやっぱり、ラッツ&スターじゃないとダメみたいです。
今度は、ラッツ&スターのリーダーとしての鈴木さんに会えるといいな。

【シャネルズ/ラッツ&スター】の曲 BEST12

ベスト12って、めちゃくちゃ中途半端。
本当はベスト30くらい選んでみたかったけど、横並びに好きな曲が多いので難しかった。
かといって、ベスト10ではちょっと物足りないし。シャネルズが常連だったという歌番組のタイトルではあるけど。

で、ベスト12。1ダース。

とはいえ、さすがに40年も聴き続けていると多少なりとも好みは変わる。小学生がアラフィフになってるわけだからね。
そこで、“初めて聴いたときの衝撃度”と“今改めて聴いても「好き」と思えること”を基準として、順位付けしてみた。

ちなみに、カバー曲は入れてない。オリジナルソングのみ。

「え?」という結果になるかもしれないけど、個人的な嗜好なので許してほしい。



……というわけで、12位から。


<12位> 雨の日のローラ

作詞:湯川れい子 作曲:和泉常寛
Vo:鈴木雅之

シャネルズ時代の曲にはない、大人のラブソング。いつ聴いても、なぜか鮮度が高い。


<11位> 愛しのアンナ

作詞:田代マサシ 作曲:鈴木雅之
Vo:新保清孝

ヤングアダルト向けラブソング。とてもシャネルズらしい、鈴木さんと田代さんらしい曲。


<10位> 今夜はフィジカル

作詞:麻生麗二 作曲:井上大輔 
Vo:鈴木雅之

クールでファンタスティック。この辺から、ラッツ&スターもアダルト路線に?
※成人向けではなく、大人向けという意味で。


<9位> 星空のサーカス

作詞:松本隆 作曲:大瀧詠一
Vo:鈴木雅之

シャネルズ時代を回顧するかのような、Doo-wop。大瀧さんらしい透明感のある曲。


<8位> 恋の4回戦ボーイ

作詞:麻生麗二 作曲:鈴木雅之
Vo:久保木博之

ユーモラスな中にもペーソスが織り混ぜられた、ほろ苦い恋愛ソング。


<7位> 渚のウエディング・ベル

作詞:湯川れい子 作曲:井上大輔
Vo:鈴木雅之

とにかく甘い。これを聴くと、もう1回結婚したくなるので要注意。


<6位> 憧れのスレンダー・ガール

作詞:田代マサシ 作曲:鈴木雅之
Vo:鈴木雅之

これは説明いらないでしょ。シャネルズの名曲のひとつ。


<5位> もしかして I LOVE YOU.

作詞:田代まさし 作曲:松村邦男
Vo:鈴木雅之/鈴木聖美

デュエットしたくてもできない(歌える人がいない)、隠れた名曲。


<4位> 彼氏になりたい

作詞:麻生麗二 作曲:井上大輔
Vo:鈴木雅之

ポップな曲調と、切ない歌詞のコントラストがたまらなく好き。


<3位> ダウンタウン・ボーイ

作詞:田村勇気 作曲:鈴木雅之
Vo:鈴木雅之

ポップな曲調と、泥臭い歌詞のコントラストがたまらなく好き。


<2位> 渚のスーベニール

作詞:田代マサシ 作曲:鈴木雅之
Vo:鈴木雅之

好き。イントロ聴いた瞬間、心を奪われる。


<1位> 浮気なエンジェル

作詞:田代マサシ 作曲:鈴木雅之
Vo:鈴木雅之/久保木博之/田代まさし/佐藤善雄

理由はいらない。好き。もう、とにかく好き。



まさか“浮気なエンジェル”が1位とは、誰も予想しなかったに違いない。

“ランナウェイ”はどうした!シャネルズ4部作は!!
“め組のひと”はどこ行った!?
“Tシャツに口紅”は!?
“夢で逢えたら”は!!?

って声が、どこからともなく聴こえてきそう……。

11位、12位あたりは、私もさすがに迷ったんだけどね。

恋は命がけ/恋の4回戦ボーイ

本当は、久保木さんのソロはまだ取り上げるつもりなかったんだけど、今日たまたまYouTubeで見つけちゃったんだ。

新宿ルイードのライブ音源による“恋は命がけ”。

いや、まさかと思ったよ。
久保木さんのソロの生歌なんて、“SPEEDO’S BACK IN TOWN”しか聴けないと思ってたから。


『SOUL SHADOWS』と『ダンス!ダンス!ダンス!』は、母が持っていた4枚のアルバムのなかでも、とくによく聴いていた。


だから、久保木さんソロのこの2曲も、かなり聴き込んでいるつもり。どっちも結構好きだったし。

当時は、久保木さんのことがとくべつ好きだったわけじゃないんだけどね。

明るいメロディーの中に切なさを感じる曲が、子どもの頃からわりと好きだったんだと思う。


とくに“恋の4回戦ボーイ”が好きだったな。
イントロもいいし、ノリもいいし、歌詞もいい。
「ちょっとコッチを向いて 彼女お話したいよ」とか、ストレートで切実な感じにきゅんとくる。
で、サビの「こんな気持ち 初めてさ」で、完堕ち。

今なんて久保木さんが好きでしょうがないから「実際、久保木さんってこういう恋をしてきた人なのかな」とか想像すると、もうジェラシーで妬け死にそうだよ。


そして、この“恋の4回戦ボーイ”という曲は、なんといっても久保木さんの声がいい。

久保木さんのソロって、どれを聴いてもちょっとずつ声が違う。
結構、声をつくってる人なんだと思うな。

“SPEEDO’S BACK IN TOWN”での、やんちゃな歌声。
多分、もともとちょっとハスキーなんだろうな。そこを強調すると、あの声になる。
一種のキャラづくりか。

“恋は命がけ”も“SPEEDO’S BACK IN TOWN”の声に近い。ただ、一応こちらは恋の歌なので、もうちょっとソフトな感じ。

で、“恋の4回戦ボーイ”。
久保木さんのソロパートってだいたい可愛い感じなんだけど、この曲で聴く久保木さんの声は、可愛い中にも男っぽさがチラチラ見え隠れしてる。


久保木さんって、だみ声で喋っていたかと思えば、“浮気なエンジェル”で聴かせるような中性的な声を出したり、かと思うと“ラブ・ミー・ドゥ”とか“BAD BLOOD”みたいなハイトーンが飛び出してきたりする。


だけど、個人的には“恋の4回戦ボーイ”の声がいちばん好き。
多分、この声が久保木さんの地声に近いんじゃないかな。と、勝手に予想してる。


そして、ライブ音源で聴く“恋は命がけ”の久保木さんの声は、どちらかというとアルバムで聴く“恋の4回戦ボーイ”の声に近かった。
ちょっとハスキーなミックスボイス。

歌は上手いとはいえないけど、その不安定な感じもまた味わいがあっていい。
もともと私は久保木さんの歌い方が結構好きで、“恋は命がけ”の「へっちゃらだけど」で声が揺れるところなんか、思わず頬がゆるんじゃうくらい好き。

なんか癒されるみたい、久保木さんの声に。

あと、“恋は命がけ”はあれだよね。
佐藤さんのパートが「ボンボンボン」じゃなくて「悶悶悶」なのがポイント。
とことんユーモラス。

シャネルズのそういうところ、好き。

ロンリー・チャップリン/もしかして、I love you

50年近くも生きていれば、誰しもデュエットの1回や2回する機会はあると思う。

デュエット曲にもいろいろあるけど、今の40代、50代に人気のデュエット曲といえば、やっぱり“ロンリー・チャップリン”じゃないかな。

私も1回だけ歌ったことあるよ。
世代じゃないけど、メジャーな曲だしね。
っていうか、鈴木聖美 with Rats&Star の『WOMAN』持ってたし。

改めて聴くと、やっぱりいい曲だなと思う。
今聴いても新しいし、ほかのデュエット曲にはない色っぽさがあるし。

なんといっても、サビの部分がいいね。
問題は、一緒に歌う男性がちゃんとハモってくれるかどうかというところ。
私がデュエットした相手はどうだったかな。正直、覚えてない。

ちなみに、“カナダからの手紙”をデュエットするときは、私ちゃんとハモってるからね。


ところで、デュエット曲の定番ともいわれる“ロンリー・チャップリン”だけど、ラッツファンからは「“もしかして、I love you”の方が好き」という声が結構聞こえてくる。

実は私も“もしかして、I love you”派。
もっと言えば、シャネルズとラッツ&スターの曲、全部ひっくるめても上位に入るくらいには好きな曲。
イントロのベースが流れてくるだけで、ドキドキしたり、きゅんきゅんしたり、悶々としたりと、瞬時に感情移入してしまえる。何度聴いても、何十年と聴いてても変わらない。

ありがたいことに、YouTube動画もあるんだよね。

いつもフロントにいる3人が、バックダンサーとコーラスに徹してる姿。これも、たまには悪くない。
心の揺れ動く様子を体現しているかのような、ひらひらとしたダンスもいい。とくに「maybe、maybe、maybe」のところ。久保木さんのダンスは、遠目に見てもやっぱり可愛い。

鈴木さんのおふざけも可愛いし、聖美さんがとにかく美しい。


でもね、実をいうと中高生時代は「ちょっと気持ち悪い」って思ってたんだ。
きょうだいでデュエット? しかも、バリバリのラブ・ソングだし。
私も兄がいたけど、ちょっと想像できなかった。決して仲の悪い兄妹ではなかったけど。

でも、大人になって、結婚して、子どもを生んだら、考え方も変わった。
今、娘が20歳。息子は3つ下の17歳。
同じきょうだいでも、姉弟って兄妹とは違うんだな。弟って、お姉ちゃんのこと妙に好きだよね。
うちの子たちを見てたら「姉弟のデュエットもありなのかも」って、素直に思えるようになった(ウチの娘は嫌がるだろうけど)。

ダウンタウン・ボーイ

私がラッツ&スターを好きになったのは母の影響だけど、母はシャネルズのレコードを全部揃えるほどの大ファンというわけでもなかったので、家にあったのはアルバム4枚と、シングルが数枚のみ。

シャネルズ1枚目のアルバムである『Mr.ブラック』は、その中には入っていなかった。
だから『Mr.ブラック』にしか入ってない曲は、私が自分でCDを買って初めて聴いた曲、ということになる。

いつ買ったのかは覚えてないけど、多分ラッツ&スター以降のCDを先に買って、あとからシャネルズ時代のアルバムがほかにもあることを知り、買い足したんじゃなかったかな。

だから、私にとって『Mr.ブラック』でしか聴けない曲は、わりと新鮮で記憶に新しい。

記憶には新しいけど、入ってる曲はすごく古くさいよね。カバー曲はもちろん、オリジナル曲も。オールディーズ臭がプンプンする。

もちろん、これ褒めてるからね。もう、すごく好きなんだ。

なかでも、“ダウンタウン・ボーイ”を初めて聴いたときの衝撃。
シャネルズを聴きはじめた小学生の頃から、もう何年も……おそらく10年は経っていたんじゃないかと思うけど、

「シャネルズは、こんなかっこいい歌も歌ってたのか」

って、本気で思ったから。
それくらい“ダウンタウン・ボーイ”は、私の心を強く揺り動かした。

私は本物の田舎者なので、そもそもダウンタウンといわれるような場所には馴染みがない。
私自身もごく普通の真面目な少女から、ごく普通の大人の女性になったクチなので、ラッツ&スターのメンバーが生きてきたような世界とは、多分あまり縁がない。

ただ、私の父は中卒の職人だ。
物心ついた頃から、作業服を着た下請けの職人さんやお弟子さんが何人も我が家を出入りしていた。
父の若い頃の写真を見ても、なんともいえないワルっぽさを漂わせている。
母はどちらかというとお嬢さん育ちだったようで、「あんな先の尖った靴はいて、一緒に歩くの恥ずかしかったんだから!」などと、よく言っていたけれど。

そして、私は一見普通のお嬢さんだが、どちらかというと父のDNAを色濃く受け継いでいるらしい。

“ダウンタウン・ボーイ”を聴いていると、その光景がリアルに脳裏に浮かんでくる。不思議と懐かしい気持ちになる。

ほかに似たような曲といえば、『Heart&Soul』に収録されている“夜明けのワークソング”があるな。

どれも肉体労働者の仕事終わりを歌った、泥臭くて、それでいてすごくキラキラした曲。

だけど、私は“ダウンタウン・ボーイ”の方が好きだな。
あのポップな曲調と、「両手の爪は黒く油まみれだけれど この手で幸せ掴んでみせる」っていう、切なくもポジティブな歌詞が好き。

曲はカラッと軽快なのに、なんとかして這い上がろうともがいている感じに心を打たれる。

あと、“ビッグ・シティ・キャット”。
母が持っていたシングルのレコード以外、私はシングル盤を持っていない。
だから、アルバムに収録されていないB面曲が結構あるということを、YouTubeで知った。
うん、かなり好き。この軽いノリ。


泥臭さのなかにある、強い生命力。
この感じが、きっとシャネルズの原点なんだろうな。

ラッツ&スターは不死鳥か

“ランナウェイ”で97.5万枚を売り上げ、シャネルズとして華々しくデビュー。

不祥事による半年間の謹慎期間を経て、“街角トワイライト”をリリース。71.7万枚を売り上げての完全復活。

シャネルズからラッツ&スターに改名し、1枚目となるシングル“め組のひと”で62.2万枚の大ヒット。

そして、1996年の再集結。
通算18枚目となるシングルで大瀧詠一さん作詞・作曲の“夢で逢えたら”をカバーし、44万枚を売り上げ。
多くのアーティストがカバーしてきたというこの曲を、初のヒットに導く。


ラッツ&スター。


何度でも、不死鳥のように蘇ってくる。
ここぞというときに力を発揮するのが、ラッツ&スター。
ここまでの底力をもったグループは、ほかにないんじゃないだろうか。


ラッツ&スターは、まだ終わってない。
もう一度、メンバー全員が揃って息を吹き返してくれるって、私は信じてるからね。

ラブ・ミー・ドゥ

すごくいい歌なんだよね、“ラブ・ミー・ドゥ”って。
いい曲っていうか、めちゃくちゃカッコいい。サビの部分なんか、聴いててゾクゾクする。

YouTubeのコメントとか見てても、ラッツファンからの評価はかなり高い。

“涙のスウィート・チェリー”と、この曲と両A面だってんだってね。そんなことすら、YouTubeのコメント欄を見るまで知らなかったよ。

フロント4人全員のソロパートがある曲っていうと、まず“浮気なエンジェル”でしょ。で、“BAD BLOOD”でしょ。
その“BAD BLOOD”と同じような構成になってるのが“ラブ・ミー・ドゥ”。

ただし、“ラブ・ミー・ドゥ”はフロント4人じゃなくて、5人。桑野さんのソロパートもある。

だけど、この曲を聴くといつも思う。

桑野さんのパート、なんでファルセット?

もちろん地声でもいけるだろうし、あえての裏声なんだと思うけど。
もしかすると、次の田代さんのパートとのコントラストをより明確にするための裏声なのかもしれないけど。

でも、桑野さんの声って、あのスコーンと突き抜ける感じがいいのになぁ。
あそこはやっぱり地声でいってほしいし、地声で歌っても田代さんの声と干渉することはないと思うんだけどな。


でもね、個人的には、この“ラブ・ミー・ドゥ”という曲の盛り上がりは久保木さんのパートにかかってると思ってる。

いつも久保木さんのことばっかり言ってるから説得力ないかもしれないけど、これは間違いない。

音楽のいちばん盛り上がるところといえば、当然サビだけど、この“ラブ・ミー・ドゥ”はサビが3回あって、3回とも盛り上がり方が違う。

どこが違うって、久保木さんのパートの「peeky-peeky」が、1回目よりも2回目のサビの方がオクターブ高い。
すごいよ、超ハイトーンボイスだもん。この曲聴くと、ラッツ&スターのトップテナーは伊達じゃないなって思うから。

さらに、2回目の「peeky-peeky」では少しリズムをずらして含みをもたせているのに対し、3回目は同じトーンでもサラッと流してる。
曲全体が、2回目のサビに向かってクライマックスを描く形になっているの。

“BAD BLOOD”も同じような感じで2回目にクライマックスを持ってきてるけど、“ラブ・ミー・ドゥ”はそこのところをさらに強調した感じ。


そこを意識して聴いてもらえれば、“ラブ・ミー・ドゥ”という曲のカッコよさの多くを久保木さんが担っているという私の主張を、きっと理解してもらえると思う。


ほんと、聴けば聴くほどカッコいい曲なんだけどな。
なんでだろ。
ラッツの曲をシャッフルで流してて、不意に“ラブ・ミー・ドゥ”のイントロが流れてくると、なぜか「あれ? この曲、なんだっけ」と思っちゃうことがある。

サビの印象が強すぎて、イントロが印象に残りにくいんだろうか。